ちゃんとわかる消費税 斎藤貴男 河出書房新社

消費税は、平等な税ではありません。社会の中の弱い立場の人を苦しめる税制です。テレビや新聞が伝えようとしない問題点を、読み解いていきます。

 

消費税の基本を考える上で、最も大事で、だけど、なぜか誰も知らない点が大きく二つあります。

一つは、消費税というのは、原則すべての商品・サービスの「あらゆる流通段階」にかかってくるということ。「あらゆる」と書いたことを覚えておいてください。

もう一つは、消費税を実際に「誰が」税務署に納めるか、「誰の手で」納められるのかということ。

現在の消費税法では、消費税の申告・納付義務を持つ人、つまり「納税義務者」は、「年間の課税売上高が一千万以上の事業者」となっています。つまり、納めるのはお店でものを買った消費者ではなくて、事業者なのです。

事業者がお客さんや取引先からいただいたお金の中から、消費税を国に払っているのです。

そのお金を誰が実際に負担しているか、これを「担税者」と呼ぶのですが、なんと消費税法にはこの担税者についての規定がありません。つまり、事業者が消費税を税務署に納める際に、誰がそのお金を負担するのか、負担してはならないのか、という決まりが存在していないのです。

 

消費税はすべての商品・サービスにかかるといっても、これはあくまでも原則ですので、例外があります。医療費や福祉サービスにかかる料金やアパートの家賃に対しては消費税がかかりません。助産やお葬式代、あるいは学校教育についてもかかりません。

 

実際にヨーロッパでは「付加価値税」(Value added tax=VAT)と呼ばれるのが一般的ですが、日本では導入当初から今日にいたるまで、あくまでも「消費税」という言い方を通しています。

 

まず税金は、「直接税」と「間接税」とに分けることができます。

税金を納める人と負担する人が同じ税が直接税です。

直接税には、所得に応じて納税する「所得税」、企業が利益に応じて納税する「法人税」、地方税として払う「道府県民税」や「市町村民税」があります。資産に対する課税も直接税です。「相続税」「贈与税」「地価税」「固定資産税」も直接税に含まれます。

直接税に対して、納める人と負担する人が異なる税が「間接税」ですが、この代表が消費税になります。

今回の本で議題にしている消費税は、厳密には「一般消費税」とされており、そのほかに「個別消費税」があります。

個別消費税には、「酒税」「たばこ税」「石油税」などがあります。……

これまでに例に挙げた例はすべて、使い道が特定されていない「普通税」ですが、その他に使い道が特定されている「目的税」があります。……

消費税を考える時、こうして税の全体像を把握しておくことが重要になります。所得税法人税は利益に対してかかる税なのだとわかれば、世の中全体が不景気になりほとんどの企業や個人が利益を上げられなくなった時、それに応じて税収も減っていくことも分かります。

先ほども説明したように、消費税であれば、その心配はないことになります。消費税は取引税ですので、景気が悪くなっても、事業者が自腹を切ろうが、お客さんから預かろうが、どっちにしても入ってくるわけです。「消費税は安定している」という言い分は、徴税する側にとって安定しているのであって、納める側の不安定など、そもそも想定されてもいません。

 

ヨーロッパの生活必需品や食品には軽減税率とゼロ税率が適用されているのが基本です。25%(※スウェーデン)というのはそれらではないもの、どちらかと言えば贅沢な商品やサービスにかかる税率なのです。だから国税収入に占めるウエイトはあまり変わらないなどということにもなる。

 

日本の所得税累進課税が強かった時代には「応能負担」という考え方があったということです。応能負担とは文字通り、「能力に応じた負担をする、お金持ちはそれだけ余計に税金を払う」という原理原則です。今は逆に「応益負担」という考え方に変わっています。要するに税金による公共サービスを直接受ける側が、より多くを負担しなさい、ということです。この典型例が、障害者自立支援法です。「障害がある人が福祉サービスを受けるなら、できるだけ自分で負担するように」という初そうです。障害も自己責任なのだと。こうなうrと、もはや何のための税金だかわかりません。税金とは、みんなで助け合うためにあるはずが、「応益」という考え方の下、サービスを受けなければならない側が負担する。これでは公共サービスではなくて、限りなく民間サービスのビジネスに近づいていきます。

 

消費税のことを少し理解できたと思う。

何にしても、私、飲食料品の税金が上がることは本当に許せない。

スーパーで買い物をするたび、「ううっ……高くなった……」と思う……。

レストランなどでお持ち帰りすれば8%になるというのも本当に意味が分からない。プラスチックの使用量が増えて、環境に優しくないやん。

消費税をきちんとすべて福祉に回せているのであれば、まだ納得のしようがあるけど、そうではないようだし、許してあげる理由がない。

だから、消費税増税はもってのほか、5%か0%に戻してほしい!うん。