私の黒い沼

いつも感じる。

 

私の足元の近くに横たわっている、黒い、黒い、沼。

 

覗き込んでも見えないほど、黒い。

 

かつて、私が沈んでいた沼。

 

息がむずかしくて、つらくて、かなしくて、こどくだった。

 

くらくて、うるさくて、しずかだった。

 

やがて、足掻いて、腕をかき回して、少しずつ少しずつ、這い上がり、ようやく出た。

 

私はだんだん白くなっていき、それによって好かれるようになった。

 

みんなは私の沼をしらないけれど、私はわすれない。

 

わすれない。私の悲しき故郷だから。

 

わたしは、しろくて、くろいのだ。