私の黒い沼

いつも感じる。 私の足元の近くに横たわっている、黒い、黒い、沼。 覗き込んでも見えないほど、黒い。 かつて、私が沈んでいた沼。 息がむずかしくて、つらくて、かなしくて、こどくだった。 くらくて、うるさくて、しずかだった。 やがて、足掻いて、腕を…

『男を消せ!』三井マリ子 毎日新聞社

人間は、誰でも生まれてから死ぬまでの間に、他人の手を借りずには一時もたちゆかない時期がある。その間、公共サービスが十分でないとなれば、私的サービスに頼らなければならない。この私的サービスの担い手は、どこの国でも女だ。だから、家で「女手」を…

『食べるほど「美肌」になる食事法』木下あおい

では、腸を整えるためには、具体的に何をすればいいのでしょうか? それには、「善玉菌」優位の腸内環境をつくることです。 私たちの腸の中には、1000兆個を超える腸内細菌が存在すると言われています。そして、この腸の中には、私たちに有益に働く善玉菌と…

読書メモ

『時代をきりひらいた日本の女たち』監修:落合恵子、文:小杉みのり 岩崎書店 女性たちのバトンがつながっていく、そんな感じを受けた。 私たちも精一杯走って、次の女性たちによりよいバトンをしなければならない。 『絵本を作る』五味太郎 ブロンズ新社 …

子どものトラウマ 西澤 哲

身体的虐待→性的虐待→心理的虐待の順にスポットが当てられていった。 身体の傷→心の傷ともいえる。 身体の傷はやがて癒えるが、心の傷はそう簡単にはいかない。 子どもを傷つけないで育てることのできる親など存在しない。どんなにすばらしい親でも、意図せ…

脱「いい子」のソーシャルワークー反抑圧的な実践と理論ー 著者多数 現代書館

私たち著者5人がこのタイトルに込めた思いに少し触れてみたい。 福祉の世界には、様々な「抑圧」が蔓延し、「いい子」の支援者が結果的にその抑圧を後押ししてしまっている。そしてこの「抑圧」は、福祉現場に閉塞感をもたらし、ケアや支援の仕事を、つまら…

人は皮膚から癒される 山口創

スキンシップのもっとも原初的な意味は、生まれたばかりの赤ん坊の体温が低下しないように、養育者が触れて保温することだった。もともとスキンシップは生命を維持するために必要だったのだ。一方でそのように温かい身体で触れられることは、情動レベルでは…

「ユマニチュード」という革命ーなぜ、このケアで認知症高齢者と心が通うのかー 著:イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ 日本語訳:本田美和子 誠文堂新光社

ユマニチュードは認知症の人や高齢者に限らず、ケアを必要とするすべての人に向けたコミュニケーションの哲学であり、その哲学を実現させるための技法です。 「見る」「話す」「触れる」「立つ」という人間の持つ特性に働きかけることによって、ケアを受ける…

『働くミレニアル女子が身につけたい力ーEMPOWERMENTー』著:大崎麻子

「与えられた仕事を一つひとつ誠実にこなすこと。それが次の仕事のドアを開けてくれる」 女性の幸せ、男性の幸せ、などというものはありません。あるのは人として幸せかどうか、です。 エンパワーメントとは、単に「自己責任で生きる」ための術を身につける…

愛の労働あるいは依存とケアの正義論

愛の労働あるいは依存とケアの正義論 著:エヴァ・フェダー・キティ 白澤社 依存して生きる者たちにはケアが必要である。まったく無力な状態で生活全般にわたってケアが必要な新生児も、まだ身体は動くけれども弱って生活に介助が必要な高齢者も、基本的なニ…

会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。

私たちは「カイシャのために」と思って、日々頑張って働いています。しかし、カイシャはそもそも実体がない。そんな実在しないものに対して「カイシャのために頑張ります!」と言っているわけで、考えてみれば、おかしな話ですね。 では、私たちは誰のために…

はずれ者が進化をつくるー生き物をめぐる個性の秘密ー稲垣栄洋

「多様性が大事」と思っていても、じつは人間の脳は「たくさんある状態」が苦手です。そして、「個性が大事」と思っていても、「バラバラにあるもの」が苦手です。人間は、目の前にあるものを、「できるだけ揃えたい」と思ってしまうのです。そのため、人間…

はじめてのジェンダー論 加藤秀一

本書では、ジェンダーという概念を次のように定義することから出発します。 私たちは、さまざまな実践を通して、人間を女か男か(または、そのどちらでもないか)に<分類>している。ジェンダーとは、そうした<分類>する実践を支える社会的なルール(規範…

ちゃんとわかる消費税 斎藤貴男 河出書房新社

消費税は、平等な税ではありません。社会の中の弱い立場の人を苦しめる税制です。テレビや新聞が伝えようとしない問題点を、読み解いていきます。 消費税の基本を考える上で、最も大事で、だけど、なぜか誰も知らない点が大きく二つあります。 一つは、消費…

僕にもできた!国会議員 山本太郎 雨宮処凛

ばんばん引用。 2017年の自殺者は2万1321人。 この状況について、厚生労働省は平成30年版『自殺対策白書』の中で、15歳から34歳までの若い世代で死因の第一位が自殺となっているのは、先進国では日本のみであり、その死亡率も他の国と比べ高いものとなってい…

高校生からのマルクス漫画講座 

マルクスの人生を追いつつ、世界で共産主義と資本主義がどうしのぎを削っていったかをザクっと描いた本。マルクスも男性優位には疑いを持たなかったんだなあーと苦笑してしまったけど、いろんな苦労をしたのだな。共産主義の細かいとこは置いといて、わたし…

就活のまえにー良い仕事、良い職場とは?ー中沢孝夫

世の中には無数の仕事と職場がある。その中から何を選ぶのか。どこが自分には向いているのか。就職情報誌や企業のホームページに惑わされずに、働くことの意味を考える、就活一歩手前の道案内。 就活って何?……と前から私にとっては難しい課題だった。 現代…

自分らしさ

自分らしさとは何なのか理解するためにはどうしたらいいのか。 日常生活の中で、微妙に感じる違和感、抵抗感を言語化すること。 無意識的に惹かれるものを素直に受け止め、追及していくこと。 自分とは?と脳で考えても、何もわからない。 外に出て、色々触…

菊とポケモン―グローバル化する日本の文化力― アン・アリスン

印象に残った文章をかいつまんで。 日本において、精神性、霊性という古さと、デジタル/バーチャル・メディアという新しさが混合されていることは、テクノ‐アニミズムを実証している。 異世界との非乖離は、日本が文化のルーツに執着しながら近代化へ突き進…

日々の流れの中で

岡本太郎のこの言葉がとても好きだ。 たとえ、自分がうまくいって幸福だと思っていても、世の中にはひどい苦労をしている人がいっぱいいる。この地球上には辛いことばかりじゃないか。難民問題にしてもそうだし、飢えや、差別や、また自分がこれこそ正しいと…

障害者の経済学

『障害者の経済学』 著:中島隆信 印象に残った文章をかいつまんで。 資本主義の世の中では、人間が欲求を持つのは当然で、それを充足すべく努力することにより満足が得られ、社会が進歩すると考えられている。ところが、仏教の考え方では、そうした努力をす…

「やりがいのある仕事」という幻想

「やりがいのある仕事」という幻想 著:森博嗣 印象に残った文章をかいつまんで。 そもそも、就職しなければならない、というのも幻想だ。 人は働くために生まれて来たのではない。どちらかというと、働かない方が良い状態だ。働かない方が楽しいし、疲れな…