「やりがいのある仕事」という幻想

「やりがいのある仕事」という幻想

著:森博嗣

 

印象に残った文章をかいつまんで。

 

そもそも、就職しなければならない、というのも幻想だ。

人は働くために生まれて来たのではない。どちらかというと、働かない方が良い状態だ。働かない方が楽しいし、疲れないし、健康的だ。あらゆる面において、働かない方が人間的だと言える。ただ、一点だけ、お金が稼げないという問題があるだけである。

 

人から褒められたのは、これまで自分が子供だったからだ。大人になったのだから、自分の事は自分でほめよう。自分をほめる為には、何が自分にとって価値のあることなのかを、まず考えなくてはならないだろう。

 

僕が言いたいことは、自分の価値観で判断すれば、収入が多かろうが少なかろうが、その中で充分に楽しめるということ、そして、もしどうしてもそれ以上のことをしたかったら、別の仕事を始めれば良いというだけのことである。

 

自分に対して、そういう理想や精神を持っている人は、とても強い。周りが何と言おうと、時代がどうあろうと、自分が正しいと決めた理想を守る。実現が難しくても、少しでもそこへ近づこうとする姿勢、それが「人の強さ」だろう。

 

すごい、あっけらかんとした文章。潔くて、パシッと膝を打ちたくなる。森博嗣さんの本には苦手意識を持っていたが、当たり外れがあるようなので、この本の様な良い本を発見に図書館に向かおうと思う。