会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。

私たちは「カイシャのために」と思って、日々頑張って働いています。しかし、カイシャはそもそも実体がない。そんな実在しないものに対して「カイシャのために頑張ります!」と言っているわけで、考えてみれば、おかしな話ですね。

では、私たちは誰のために働いているのでしょう。実際には、「お客様のため」であったり、「一緒に働く仲間のため」であったり、「次の世代の人たちのため」だったり、「自分のため」だったり。カイシャではなく、もっと別のいろいろなもののために頑張っているはずです。ところが、私たちは「カイシャのため」という言葉を何気なく使ってしまいます。この言葉は、我々が思考停止していることの表れで、実態と乖離しています。とても危ない言葉だと思います。

 

じつは社長というのは内部的な役職の名前なので、カイシャ法で言うと何の権力もありません。法律上、権限がない。ですから、カイシャを見るときに、一番見ておかないといけないのは「代表取締役」です。 

 

日本のカイシャが楽しくないのは、「社員を我慢させる仕組み」で運営されているから。その仕組みを作っているのは、会社の代理人である代表取締役。だから、カイシャを選ぶときは、この代取締役がどんな人かを見ることが重要である。

 

世の中の多くの企業は、企業理念を軽視しているように思えてなりません。企業理念を重視しないということは、集まる理由が弱いということです。集まる理由がないところで働いて、楽しいはずがありません。自分は何のために働くのか。企業理念は、働く一人ひとりにとって、モチベーションの根幹なのです。

 

売上が大きいということは、「顧客からたくさん巻き上げている」とも言えます。人から巻き上げたお金の総額が売り上げです。……

世の中には売上を上げなくても、すごいことをしている人たちがいます。

(①LinuxというOSを作っているリーナス・トーバルズと言う人。②オンライン辞書の「Wikipedia」。)

近年では、これらのようなカイシャを超えた組織が、次々と登場しています。

だから、「A社は売上が〇億円。B社はその半分しかない。だからA社のほうがすごい」という話を聞いても、疑った方が良いと思うのです。

 

もう一つの指標、「利益」を考えてみましょう。

売上が大きいカイシャは、利益でも怖い面があります。というのも、売上が大きいと、簡単に利益を上げられるからです。……利益を増やそうと思ったら、分配を減らせばいい。これが危険な構図です。……楽しく働けるカイシャかどうかを判断する際には、利益よりも、どこにどれくらい分配しているのか、というところを見た方がいい

 

代表のビジョンと自分のビジョンとの関係を考えよう

楽しく働くために最初に紹介したいコツは、代表のビジョンと自分のビジョンを重ねることです。……とはいえ、カイシャの代表と社員が、100%同じ理想を持っている、なんてことはありえません。……重ね合わせられる部分が見つかるのであれば、その重なった部分で楽しく働けるようになります。

自分が持っている夢を叶えられる場所なのかどうか、これを確認することが大事です。このカイシャの代表が何をやりたがっていて、自分が何をやりたがっていて、そこに交点はあるのか、ということです。

これは、あなたがまず「自分の夢」を持っていないといけない、ということでもあります。さて、あなたの夢はなんですか。

 

一人ひとりにとって、「得ることがうれしい」ものをすべて報酬であると定義するならば、他にもたくさんの種類の報酬があることに気づきます。

(「気持ちよく働ける仲間」、「楽しい職場」、「人脈」、「仕事の内容」、「副業可能」、「働く環境」…等々)

 

もし、いまあなたがカイシャを辞めようかどうしようか迷っている、あるいはあるカイシャに入ろうかどうか思案しているのであれば、そこで働いている人に対して質問をしてみるといいでしょう。「カイシャは楽しいですか?」というシンプルな質問です。

 

あなた自身が「楽しく働き続ける」にはどういう思考をすればいいのでしょうか。その思考法を、サイボウズでは「モチベーション創造メゾット」と呼んでいます。……モチベーションが高い状態とは、「やりたい」「やれる」「やるべき」という三つの条件が重なっている、と定義しています。

……「やりたい」のポイントは「変化する」ということです。いろいろなことを経験するうちに違う分野にも興味が湧いて、「やりたい」対象がシフトしていくのはよくあることです。だから、楽しく働こうと思ったら、自問自答を繰り返し、自分の「やりたい」を把握し続ける必要があります。答えは自分の中にしかありません。私もいまだに自問自答を続けています。

「やれる」のポイントは、「拡大可能」だということです。スキルがないうちは「やれる」ことは限られていて、誰かの仕事を真似して同じようにこなすのが精一杯かもしれません。しかし、何度も繰り返しているうちにコツを掴み、より速く、より上手にできるようになる。自分で新しいアイデアを生み出し、今までとは違うやり方を編み出せるようになるかもしれません。「やれる」を拡大すれば、三つの円を重ねやすくなります。

……「やるべき」仕事の中から「やりたい」と「やれる」の交点を探して、選択する。そして、その選択は、自分の意思によって決めたのだと覚悟する。

 

どの選択肢を取るにしても、自分で選択して、自分で責任を取る覚悟が大事です。他人のせいにしているうちは、主体性から生まれる楽しさを享受できません。

 

これからの時代は、自分という「製品」がコモディティ化の波に飲み込まれないよう、個性を磨いていく必要があります。

いかにユニークさを出すか。一つの鍵は「掛け算」の発想です。一つのスキルだけでユニークさを出すのは、なかなか難しいことです。……そこで「掛け合わせてスキルを作る」ことを考えます。

(例:「農業」×「クラウド」、「野球観戦」×「バーベキュー」、「英語」×「地域」……無限にあるよね)

どこからスキルを身に着ければいいのか分からない人は、とりあえず「やりたいこと」から始めるのが良いと思います。

一つのことに固執するよりも、自分の心の声に素直に耳を傾け、様々なことにチャレンジし、それらを掛け合わせ、ユニークな自分を作り上げていくほうがいい。これからの時代に問われるのは、「あなたの個性は何ですか」ということではないでしょうか。

 

簡素で分かりやすい文章で、すんなりと胸にはいってきた。

転職活動をすると決めて、「カイシャに入ろう」と決めたのはいいものの、どんなカイシャに入ればいいのか迷子になっていたから、この本を読めてよかった。

カイシャというのは実体がなくて、カイシャを動かしているのはあくまでも経営者と社員。そして経営者のビジョンがカイシャの進む方向を決める。

自分が迷子になっていたのは、「カイシャ」の外面だけを見て、中を見ようとしていなかったから。また、自分の「カイシャで働く」を深く考えていなかったから。カイシャを深く見て、自分のやりたいことを深く分析することで、納得のできる転職ができるのではないかと思った。

自分があれこれやりたいとやる性分がいけないのかなあと思っていたけれど、むしろ複数持っていることを誇りに思ってそれぞれを気長に伸ばしていけたらいいのかな。

(「美術」×「手話」×「教育」×「保育」×「ASL」×「外国」……)